警視庁物語 顔のない女
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シリーズ第9作。
土曜日の午後。人々が憩いと喜びのうちに平和なひとときを楽しむ間にも犯罪は起り、刑事たちからその休日を奪う。荒川土手に女のバラバラ死体が上る。死体は胴の部分だけ。そのうち対岸に両足が発見された。解剖の結果同一人物の胴と足であることが判明した。しかも被害者は三十歳前後の女、死亡推定日は三日前、死体は絞殺後切断されたこと、足の長さから身長は155センチ、卵巣の手術の跡等の事が同じく判明した。唯一の手掛りとも云うべき証言、新荒川大橋で三日前「5す21」と云うナンバーの車から一人の男が何かを投げ込もうとしていた。ついに手と首が発見されたが腐敗がひどく人相は分らず相変らず身許がわれない。死体の顔から出た義歯と隆鼻用の象牙、それに自動車のナンバーをたよりに刑事達の足が四方に飛ぶ。歯科医により被害者はキャバレーの女給小沢初江と分った。先ず初江と関係のあった成田が線上に浮上るが成田にはアリバイがある。次に自動車のもとが分り、張り込んだ刑事の手で車の主、吉岡が捕えられた。が、吉岡にはひき逃げやハンケチタクシーの余罪はあったがこの事件の真犯人ではなかった。しかし事件当夜仙ちゃんと云う男に車を貸したと云う吉岡の妻の証言によって、仙ちゃんこと米倉仙三という性格異常の男が事件の表面に浮かびあがってきた…。